うちの市は住民税が高い・・・って本当?
『うちの市は住民税が高い・・・』って話、よく聞きますよね。
けど、それって本当でしょうか?
他の人と比べることもできず、
なんとなく高いと思っている方も多いのではないでしょうか。
『住民税が高い』について考えてみました。
住民税の内訳
個人の住民税は、都道府県民税(例:大阪府)と市町村民税(例:枚方市)があります。
それぞれ、所得割と均等割があるため、次の4つの合計額になります。
①府民税所得割
②府民税均等割
③市民税所得割
④市民税均等割
所得割とは
所得割は、
稼ぎが多い人はそれだけ税金を納める能力があるので、
たくさん払ってください、という考え方です。
1年間の収入をもとに計算される『課税所得(課税される所得の額)』に税率を掛けて算出します。
収入ー控除=課税所得
課税所得×税率=所得割額
基本的に国税である『所得税』と考え方は同じですが、
①税率が一定である(超過累進税率ではない)
②所得控除額が異なる
(例)基礎控除 所得税:38万円 住民税:33万円
などと言った違いがあります。
均等割とは
均等割は、
行政サービスを受けているのだから、
その分、一定額は負担をしてください、という考え方です。
市区町村に住むための基本料みたいなものです。
行政サービスなんて受けてない!!って方もいるかも知れませんが、
少なくともゴミ収集くらいは行政サービスを受けているのではないでしょうか。
収入が少ない方は、非課税となりますが、
給与収入でいうと100万円超(市町村によって多少異なります。)の方は、
均等割を納める必要があります。
ちなみに、所得税が非課税となる
いわゆる『103万円の壁』より低いので注意が必要です。
所得割の税率が高い?
うちの市は、住民税が高い!
ってことは、うちの市だけ、所得割の税率が高いのでしょうか?
所得割の税率は・・・基本的に10%(標準税率)です!
都道府県民税 4%
市区町村民税 6%
『基本的に』と書いたからには『例外』があるわけですが・・・
財政破綻した北海道夕張市10.5%!
これが最高税率です!
その他、兵庫県豊岡市 10.1%
神奈川県の各市町村 10.025%
ちなみに最低税率は、愛知県名古屋市9.7%です。
所得税の税率は、ほとんど10%で変わりません。
均等割が高い?
所得割じゃなければ、均等割が高いはず・・・
均等割の額は、基本的に4,000円(標準税率)です。
都道府県民税 1,000円
市町村民税 3,000円
ただし、こちらは例外がたくさんあります。
平成35年までは、基本額が5,000円。
東日本大震災がきっかけとなり、
防災のための財源確保のため、一律で500円ずつ加算されています。
都道府県民税 500円
市町村民税 500円
みどり税だとか環境税だとか・・・
また、各都道府県、市区町村によって
それぞれで定めた加算額があります。
すべて紹介するのは大変なので何個か例をあげると・・・
<都道府県>
みやぎ環境税(宮城県) 1,200円
みえ森と緑の県民税(三重県)1,000円
県民緑税(兵庫県) 800円
森林環境税(大阪府) 300円
水源環境保全税(神奈川県) 300円
<市区町村>
北海道夕張市 500円
愛知県名古屋市 -200円
たしかに宮城県や三重県で年間1,000円以上加算されていますが、
『うちの市は高い!』と強調するほどの結果ではありません。
行政サービスはちがう
見てきたように、多少の違いがありますが、
実際の負担額としては、
どこの市区町村に住んでても大して変わりません。
ただし、行政サービスは市区町村によってかなり違います。
行政サービスが充実している市区町村に住めば、
相対的に住民税の負担が軽くなると思います。
まとめ
金額だけ比べると『うちの市は住民税が高い!』
って言うほどの違いはありません。
しかし、行政サービスがほとんどないから相対的に高い!
ってことはあり得えるます。
同じ住民税を払うのであれば、
行政サービスが充実している市区町村を選べばお得かもしれません。
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大阪府枚方市の30代税理士なら多田税理士事務所