延長されました! 30万円未満の備品は、購入時に全額経費計上できます。
「少額減価償却資産の特例」をご存知でしょうか?
30万円未満の減価償却資産を一度に経費計上できる、という制度なのですが…
漢字ばかりでよくわからないので、ざっくり説明します。
1.会計のキホン
会計の基本的な考え方の1つに、
「利益」を計算するときは、
『売上と費用を対応させる』というものがあります。
利益=売上-費用
どういう事かと言うと・・・
一番わかりやすいのが商品を売ったとき
1個60円で仕入れて(費用)、
1個100円で売った(売上)とします。
『売上』と『費用』が1対1の関係になっていて、
利益40円が計算できます。
しかし、費用が仕入とは違って、
事務用品(ボールペンなど)や備品(パソコンやプリンター)、
営業車、店舗を購入したときには、
『売上』と『費用』は、直接は関係しません。
もちろん、
開業から廃業まで、数年から数十年それ以上の期間、
すべての売上と費用を集計すれば、売上と費用は対応するのですが、
「1年間ずつ期間を区切って利益を計算する」というルールがあります。
そのため、パソコンや車、建物は何年も使えるので、
これらを購入した費用を
いつの売上と対応させるのか、という問題が生じます。
(例)毎年売上1000万円 営業車600万円で購入(6年使える)
購入時に全額費用を計上すると・・・
1年目 400万円=(1000万円―600万円)
2~6年目1000万円=(1000万円―0円)
あまりに利益が偏ってしまいます。
この問題を解決するために、「減価償却資産」というルールがつくられました。
2.減価償却資産ってなに?
1個10万円以上で1年を超えて使える資産(パソコンや車、建物など)は、
「減価償却資産」に分類されます。
減価償却資産は、1年を超えて使えるので、
購入したときに全額を費用に計上してしまうと、
売上と費用の対応ができません。
そのため、使える期間に応じて徐々に費用に計上していきます。
(例)毎年売上1000万円 営業車600万円で購入(6年使える)
使える期間で徐々に費用計上
1~6年目 900万円=(1000万円―100万円)
6年間の利益の合計額は、先ほどと同じく5400万円ですが、
徐々に費用計上することで、毎年の利益が一定になりました。
※1年を超えて使えるものでも10万円未満のものは、
計算するのが大変なので、購入した時に全額を経費に計上することになっています。
3.少額減価償却資産ってなに?
ここからが本題です。
原則として、10万円以上が減価償却資産になります。
しかし、減価償却資産は、徐々に費用計上するため、
購入した年に全額を費用計上する場合と比べると、
購入した年の利益が多くなってしまいます。
(例)1年目に全額を費用計上 400万円
減価償却資産として徐々に計上 900万円
利益が多いと、税額も多くなってしまいます。
資産の購入で支出して、税額も多い…
経営していく上では、資金繰りが厳しくなりますよね。
備品を買うのも躊躇してしまそうです。
そこで作られた特例が、
「少額減価償却資産の特例」です。
例外として、1個30万円未満であれば、
購入した時に全額を費用計上してもいいよ、というルールです。
このルールを利用して、10万円以上だけど、
購入した時に全額を費用計上した「減価償却資産」のことを
「少額減価償却資産」といいます。
4.2020年3月31日まで延長されました!
「少額減価償却資産の特例」は、
2006年から始まったんですが、
「特例」なので、期限が設けられていて、
直近の期限は、2018年3月31日まででした。
今回、2018年度の税制改正で、
2020年3月31日まで延長されています。
5.まとめ
即時に全額を費用計上できる「少額減価償却資産の特例」
すでに12年間続いている特例なので、
ご存知の方も多いかと思います。
しかし、あくまで「特例」なので、
延長されない日が来るかもしれません。
常に最新の税務情報を得ることが重要です。