税金に関する情報をネットで調べる方法
記帳とは、正確に仕訳することで、
正確に仕訳するためには、税金の情報も理解する必要があります。
自分で記帳をすると決めた方のために
ネットで情報を集める方法をご紹介します。
【この記事の目的】
税金の知識をネットで調べられるようになる。
Q.業界紙の年間購読料を支払ったときの仕訳は?
4月24日に、年間購読料1年分12,000円を支払いました。
購読期間は、5月発行分から1年間です。
1.まずはキーワードで検索!
今回は、「年間購読料 仕訳」で検索しました。
Yahoo!知恵袋、総務の森、教えて!goo など
匿名の質問サイトが上位に表示されます。
上位表示されたサイトで確認すると、
支払った時に1年分を費用計上するようです。
(仕訳)新聞図書費 / 現金 12,000円
簡単に見つかります。
ここで注意したいのが・・・
ご自分の専門分野に置き換えてみれば経験があるかと思うのですが、
質問サイトなどの情報は、間違っていることが多々あります。
鵜呑みにしても誰も責任をとってくれません。
2.専門家が書いている記事を探す
匿名で誰が書いたかわからないサイトは
自分が専門家じゃないと合っているのかどうかわかりません。
同じ内容のサイトが複数見つかったとしても、
多数決ではないのであまり意味がないです。
そこで次に探すのが「専門家」が書いているサイト。
実名出して書いていれば、プライドもあるでしょうし、
信ぴょう性は高まります。
複数のサイトを確認すると意見が2つにわかれています。
①支払った時に1年分を費用計上
②5月~12月分を費用計上、1月~4月分は前払金(費用計上できない)
専門家では意見がわかれるようです。
どちらが正解なのでしょうか?
3.根拠を示している専門家を探す
1つずつ探していってやっと見つけました。
(個人)所得税法基本通達37-30の2
(法人)法人税法基本通達2-2-14
(参考)所得税基本通達37-30の2
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
長いです。通達の内容を要約すると、こんな内容。
1年分を前もって支払った場合、
基本的にはダメだけど、
それが「サービス提供」に対する対価なら、
支払った時に経費計上してもいいよ
ただし、支払った時に費用計上するなら毎年同じ処理をしてね。
こんな感じのことが書いてあります。
ここで大事なポイントが3つ
・1年分ならいいよ
・サービス提供の対価ならいいよ
・毎年同じ処理をするならいいよ
今回は1年分の年間購読料です。
年間購読料は、物品の購入なので、サービス提供ではありません。
つまり、支払ったときに1年分を費用計上できません。
ちなみに「基本通達」は、法律ではないですが、
税法に明記されていない部分を
国税庁がどのように解釈しているかが記載されています。
法律ではないので、従う義務はないですが、
基本的には納税者に有利な解釈がされています。
(法律に書いてないことを納税者不利に扱うと大問題になるので)
4.その他
今回は、基本通達に取扱い方法が載っていましたが、
それでもわからない場合は、法律自体を確認します。
基本的に法律は3段構え(+1)
上から順に細かい内容が記載してあります。
・所得税法
・所得税法施行令
・所得税法施行規則
・所得税法基本通達
法を読むと、詳しいことは施行令に書いてあるよ、
施行令を読むと、もっと詳しくは施行規則みてね。といった感じ。
施行令でもよくわからないときは、
法律ではないけど、基本通達に解釈の仕方が書いてあります。
5.まとめ
もちろん正確性の順番はこんな感じです
法律>通達>専門家サイト>ブログ>質問サイト
しかし、法律から確認していくと、欲しい情報は見つかりません。
調べるときは反対の順番ですが、
間違った情報もあふれているので、
遡っていって最終的には、
通達もしくは法律を確認する必要があります。
A.年間購読料を支払った時の仕訳
年間購読料(12,000円)のうち
今年経費計上できるのは、今年の分(8,000円)だけです。
(仕訳)
前払金 / 現金 12,000円
新聞図書費 / 前払金 8,000円
※新聞図書費は、
5月~12月まで毎月1,000円ずつ計上すれば、
経費計上の平準化ができて、
月次決算の精度が高まります。